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出版社:白水社
出版日:2024年10月16日頃
ISBN10:4560091374
ISBN13:9784560091371
販売価格:4,290円
2011年の「民政移管」以降、それに伴う制裁解除とともに、ビルマ(ミャンマー)の地政学的位置づけが急速に変わろうとしていた──。本書は、ビルマを「アジアの勝手口」と見立てて、国境を接する東西の大国、中国とインドとの関係を中心にビルマ史を概観し、同国を取り巻く国際情勢を冷静に分析した入門書である。中印両国がビルマを含めた周辺国に与えた影響について、近代以前にまでさかのぼって丁寧に跡づけているのが特長だ。
著者は元国連事務総長ウー・タン(ウ・タント)の孫にあたる気鋭のビルマ史家。ビルマ北部の辺境といわれる少数民族居住地域を自ら歩き、ここで見聞し思索したことを要所要所にまとめている。こうした紀行の要素と情勢分析とが相まって、道路や天然ガスパイプラインなどのインフラ整備計画のほか、観光客の受け入れ計画などが各地で進められ、東アジアと南アジアを結ぶ新たな「十字路」としてのビルマの姿が浮き彫りとなる。二大文明に挟まれているというその位置こそが、ビルマにとって最大の「資産」であるという観点から、「アジア最後のフロンティア」の実像に迫る。
第26回アジア・太平洋賞特別賞受賞作。解説=中西嘉宏(京都大学准教授)
プロローグ
第1部 裏口から入るアジア
夢みるイラワディ
パウポー
ビルマ・ロード
日暮れの王
新しいフロンティア
第2部 未開の南西部
マラッカ・ディレンマ
雲の南
ガンダーラ
シャングリラ
インド洋への道
第3部 インド世界のはずれ
東へのまなざし
忘れられた分離
国内の「国境」
新たな交差点
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
解説(中西嘉宏)
人名索引/原注解説:中西嘉宏(京都大学東南アジア地域研究研究所准教授)
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