縮小社会における法的空間

現状の統治システムの多くは、かつての成長社会を前提として設計されたものであり、縮小社会の到来は法学の基本原理そのものの再検討を迫っているのではないか。また、法学は、空間との相互規定性をより重視した思考様式を導入することが求められているのではないか。こうした問いを踏まえ、学際的な研究の成果を一書に編んだ。 第1部　空間と法の相互規定性 第1章　空間利用の公ー私境界：縮小社会における変容 ……角松生史 第2章　日本の都市においてジェントリフィケーションを理解するためにーー公共空間からのアプローチ ……原口　剛 第3章　交渉促進規範としての解除権とオプション権ーー縮小社会におけるホールドアウト問題の私法的規律 ……山本顯治 第4章　コービン労働党とBrexit--社会空間のTPSN図式による一考察 ……進藤　兵 第5章　内心の自由の輪郭素描の試みーー人の生活空間における内心の憲法的保護 ……佐々木弘通 第6章　学級という空間の融解、あるいは、子どもの欲求の不可視化 ……世取山洋介 第2部　ケアと包摂 第7章　社会保障の法理念と規範理論ーーケアの倫理との関係を中心に ……西村　淳 第8章　心理療法の多元的アプローチと個別化されたケアーーケアの受け手が与え手と共創するケアのあり方 ……都築幸恵 第9章　ケアリングとしての歴史学へ ……小田中直樹 第10章　縮小社会における子ども・子育て支援と学校教育ーー選択の保障と子ども及び保護者の法的地位 ……横田光平 第11章　持続可能な発展 ……桑原勇進 第12章　不可能で必要な責務としての空間計画 ーー原発被災地域の自然（じねん）的実践として現れる「選びようがない共生」 ……窪田亜矢 第13章　包摂と排除の機制における二者性の問題 ーー共同する他者から触発する他者へ ……小玉重夫 第14章　コミュニティ・アクションの誕生 ーー1970年代の危機と福祉国家史の再検討 ……長谷川貴彦