不動産管理工学

不動産管理は、従来、科学的というよりも経験的な、そしてより実学的なものと見られる部分が多い学問体系であるが、大変に多くの人々が業務においても人生においても関係するものであり、より広い学問体系にするためにより科学的な要素を取り入れることができないか、また経験的な実学的なものを具体的な数値に入れて広く説明責任を果たし得るようにできないか、そして不動産管理を工学的に位置づけし直すという点から「不動産管理工学」という学問体系が形成できないかというのが、本書である。その柱として、第一に不動産（ここでは主に建物）の使用年数が延びていることにかんがみ、短期経済性から長期経済性に視点を開くライフサイクルコストの考え方、ならびに第二に不動産（建物）の価値・効用の創出・維持・向上という変化に対しての視点を開くライフサイクルマネジメントの考え方を考慮している。