葦が泣く

天保十三年春。藩主に許嫁を奪われた平田深喜は、腹立ちまぎれに吉原で狼藉を働く二人の浪士を斬り捨てる。懲罰も受けず留守居役添番に取り立てられるが、裏には、藩政を牛耳る一派の計略があった。平田は過酷な運命の奔流へと投げ込まれてゆく。藩のために人を斬らされ、お尋ね者となった彼は、無頼の徒、平手造酒へと生まれ変わる。著者会心の傑作長編時代小説。