近代天皇制と東京

明治2年の東京奠都（てんと）以降の，国家と天皇に関わる儀礼空間を，式場の建築，敷地全体，行幸啓経路を一体としてとらえ，その全体像を明らかにする．伝統の継承と模倣，創造という観点から，近代天皇制が東京の都市空間の形成に与えた影響を考察する． はじめに　「土地の記憶」をめぐって 序　章　帝都・東京と儀礼ーー研究史整理と問題の所在 　　一　近代天皇制における儀礼の意義 　　二　近代天皇制と帝都の形成 　　三　都市的観点からみる東京の儀礼空間 　　四　建築的観点からみる東京の儀礼空間 　　五　本書の目的 第一章　儀礼の全体像とその分類ーー「都市を舞台とする儀礼」の位置付け 　　一　近代の典憲体制における儀礼と行幸啓 　　二　儀礼と都市との関係性 　　三　都市を舞台とする儀礼の範囲 第二章　祝賀儀礼と都市ーー多様な主体が催す儀礼空間の都市的拡がり 　　一　各儀礼の会場と行幸啓経路 　　二　祝賀儀礼の都市的拡がりの変遷 　　三　おわりにーー宮中，政府と市民の意向 第三章　祝賀儀礼の建築ーー式殿にみる「御殿風」様式の系譜 　　一　各儀礼の次第と会場計画 　　二　式殿を中心とした会場計画の成立と標準化 　　三　「御殿風」様式のイメージ 　　四　おわりにーー儀礼の都市的拡がりと会場計画の関係性 第四章　大喪儀ーー東京市西部の練兵場・御料地の利用 　　一　東京市西部の整備 　　二　各大喪儀の敷地と葬送経路，式場計画 　　三　大喪儀の儀礼空間の変遷 　　四　おわりにーー「霊域」としての記念性 第五章　軍事儀礼ーー練兵場と宮城前広場における観兵式 　　一　練兵場，宮城前広場の整備 　　二　観兵式の概要と時代区分 　　三　式の次第と敷地の利用形態 　　四　行幸啓経路 　　五　観兵式における儀礼空間の特質 　　六　おわりにーー軍都・東京と練兵場 第六章　明治神宮外苑造営前史における空間構造の変遷ーー軍事儀礼・日本大博覧会・明治天皇大喪儀 　　一　軍事儀礼と周辺整備ーー明治中期から大正初期 　　二　日本大博覧会構想ーー明治四〇年代 　　三　明治天皇大喪儀ーー大正元年 　　四　明治神宮造営ーー大正期 　　五　儀礼空間としての利用と空間構造の変遷 　　六　おわりにーー明治神宮外苑における「土地の記憶」 結　章　近代天皇制と都市・建築 　　一　祝賀儀礼・大喪儀・軍事儀礼の都市的拡がりとその変遷 　　二　儀礼空間の創出と「土地の記憶」の形成 　　三　今後の課題と展望 　　四　おわりにーー「土地の記憶」の継承 附　録　儀礼一覧 Modern Emperor System and Tokyo: An Urban and Architecture History Through Ceremonial Space HASEGAWA,Kaori