知ってる躰

混沌と喧噪が支配する戦後の横須賀。丘の上には、米軍高級将校のための洋館が建っていた。華麗な佇まいのその館の奥に連れてこられたのは、朽木公爵家次男で１８歳の七緒。そして気高い七緒の目の前には、かつては兄と慕い尊敬した美しい荏田史曉が。瞬間、二人の間に愛憎が流れ…！？時は遡り昭和１８年。裕福な朽木公爵家に生まれた１４歳の天真爛漫な七緒には、優秀な兄で２４歳の壱矢がいた。七緒は、壱矢の親友で実の兄弟のように育った史曉が大好きで、いつも史曉のお役に立ちたいと思っていたが…。日本人娼婦と英国人牧師の間に生まれた史曉には秘めた思いもあり…。これは時代に翻弄された、七緒の純情と史曉の執拗なまでの愛の物語。