蛍沢

観相には悪兆の見られない艶やかな顔立ち。しかし美しい乳房の左下にある赤黒い痣が、色の道での災難を示すー南龍は“体の相”を見た美女を忘れられずにいた。そんな折、枕絵師の月岡芳春が蛍見物の最中に殺害され、彼の手文庫から出てきた男女の錦絵にその女の似姿が。謎に挑む南龍だったが、同心・勘蔵との不仲も起こり焦るばかり。そして第二の殺人が。表題作ほか二篇。書き下ろし連作第三弾。